結婚してからもう数年が経ち、生活は一見順調に見えるけれど、心のどこかで不安が燻っている。
最近、夫が同僚との浮気を告白した夜のことを思い返すと、まだその衝撃が胸に残っている。
仕事から帰って来た夫が、普段とは違う表情で私の前に座り、何かを伝えようとしていた。
彼の声は震えていて、その瞬間、悪い予感がした。
その日は金曜日の夜で、いつもよりも遅くに帰ってきた夫を待ちながら、私は夕食の準備をしていた。
食卓に並べた料理を見ながら、彼の笑顔が見られることを期待していたのに、彼の目はどこか遠くを見つめているようだった。
私たちの間には、いつからかコミュニケーションの不足が生じていたのかもしれない。
日々の忙しさに追われ、仕事の話や家庭のことを話す時間も少なくなっていた。
あの告白を受けた瞬間、頭の中が真っ白になり、心臓が激しく鼓動した。
彼の言葉は耳に入ってこなかったけれど、何度もごめんと繰り返す姿を見て、私の心はさまざまな感情に揺れ動いた。
怒り、悲しみ、裏切られたという気持ち、そして何よりも深い孤独感。
彼が同僚と浮気をした理由を考えると、自分に何が足りなかったのか、私たちの関係がどうしてここまで悪化してしまったのか、そんな思いが頭を巡った。
私の周囲の友人や家族は、夫のことを良く思っていなかった。
何度か、彼の態度や言動に疑念を抱いていた友人の言葉が脳裏に蘇る。
もしかして、彼、あなたを大切にしてないかもねと。
その言葉を思い出すたびに、私は彼を信じるべきか、疑うべきか迷った。
どうしても信じたくても、裏切りの事実がそれを難しくした。
理解してもらいたいけれど、誰にもこの苦しみを正確に伝えられない。
どこかで夫を許したいと思っている自分もいるけれど、その気持ちは小さくて脆い。
友人に相談してもそんな男、やめちゃえばと軽々しく言われるけれど、結婚のプレッシャーや焦りもあって、すぐには決断できない。
この歳で再スタートを切ることができるのか、何よりも不安がつのる。