夫が最近、私たちのこれからの人生を一緒に歩んでいこうと言ったのです。
リビングで夕食を囲みながら、にこやかな表情で語る夫の姿を見て、私は笑顔を返しましたが、心の奥底には漠然とした不安が渦巻いています。
58歳という年齢、子供たちは独立し、私たち二人だけの生活が始まろうとしている今、何をどうしていけばいいのか分からなくなっているのです。
私たちの家は、小さな庭と古い家具が並ぶ居心地の良い場所ですが、最近はその静けさが逆に孤独感を感じさせるようになってきました。
夫は定年を迎え、これからの人生をどう過ごすかを真剣に考えているようです。
私も昔のように旅行や新しい趣味を始めることを提案してみましたが、具体的な計画がなかなか立てられず、ただ時間が過ぎていくのを感じています。
心の中では、夫との絆を深めたいと思っているのに、同時に不安も募ります。
私たちは長い間、仕事や子育てに追われて、お互いのことを考える余裕を持てなかったのです。
この新たな生活スタイルにどう適応していけばいいのか、まるで見知らぬ土地に迷い込んでしまったような気持ちです。
先日、友人とランチをしながらこのことを話しました。
友人は、夫婦での新しい趣味を持つことが大切だと言ってくれましたが、具体的に何を始めればいいのかイメージが湧きません。
夫と一緒に何かをすることは大切だとは思うものの、私自身が何を楽しめるのか、自分の興味や希望が曖昧になってしまったのです。
今は、夫の希望に寄り添いつつも、自分の気持ちをどう整理するかが課題です。
週末に近くの公園を散歩しながら、自然に会話を増やそうと努めていますが、そのたびに不安が頭をもたげてきます。
夫の思い描くこれからの人生が本当に私も望むものなのか、心の中で葛藤しています。
友人の勧めで、少しずつ陶芸教室や料理教室を見学してみましたが、参加する勇気が出ずにいます。
何か新しいことを始めることで、二人の関係を深められるかもしれないと思いつつも、その一歩を踏み出せずにいる自分がもどかしいのです。