夜の11時を過ぎ、静まり返った部屋の中で彼の言葉が耳に残る。
『まだ先でいいよ』という一言が、まるで重たい石のように心にのしかかっている。
私たちが結婚について真剣に話し合うのは、いつも深夜。
日中は仕事に追われ、夕食を共にするだけでお互いのことを深く理解する暇もない。
そんな中、ふとしたタイミングで話が出た。
私が結婚のタイミングについて尋ねたとき、彼が言ったその言葉は、私にとって一番恐れていた現実を突きつけるものだった。
私たちは数年前に結婚し、それなりに幸せな日々を送っていたと思っていた。
しかし、最近、心の奥底にある不安が増している。
夫婦間のコミュニケーションが減っているのを実感する。
仕事のストレスに押しつぶされそうな彼を見ていると、私が追い詰めているのではないかという罪悪感さえ湧いてくる。
私には30代の友人たちがたくさんいて、彼女たちは次々に妊娠や出産の報告をしている。
周りの幸せに触れるたびに、私の焦りは募るばかりだ。
友人の一人は、結婚してからのコミュニケーションやセックスレスの悩みを話してくれた。
その時は、他人事のように思っていたけれど、今はその友人の悩みが自分のものになっている。
最近、私たちの間にセックスレスの問題も顔を出している。
もともとはお互いに愛し合っていた頃は、毎日とは言わないまでも、週に何度かは一緒に過ごしていた。
しかし、仕事が忙しくなったり、私自身も仕事で疲れて帰宅する日々が続くうちに、自然とその時間は減ってしまった。
今では、彼が寝室に入るのを待つことも少なくなり、気づけば一ヶ月もそんな日々が続いている。
彼との距離を感じるたびに、心のどこかで『このままでいいのか』と自問自答している自分がいる。
最近、私はこの問題を解決しようとして、彼に話を持ちかけた。
疲れた彼を気遣いながらも、私たちの関係を再構築するために努力しようとしたが、話はうまく進まなかった。
彼は一度は興味を示してくれたけれど、結局話が流れてしまった。